我々の流派名は、「戸山流」と言います。「戸山流」は、近代になって成立した新しい流派です。大正14年、「陸軍戸山学校」に当時現存した剣術・居合の各流派の伝書が日本中から集められ、様々な流派の技を徹底的に比較研究して成立した技術体系を「戸山流」と呼びます。したがって、戸山流には様々な流派の影響が見られます。例えば、一刀流、大森流、薬丸自顕流などから採用されたと思われる技法が内在しています。

  また、本稽古会で稽古する武術を、我々は「居合抜刀術」と称しています。「居合」という言葉は聞き慣れていても、「抜刀術」とは、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。「抜刀術」とは読んで字のごとく、「刀を鞘に収めた状態から、抜き打ちにより敵を制する技術体系」のことを言います。こういった技術は、通常「居合」「居合術」「居合道」と呼ばれます。なぜ、我々は「居合抜刀術」と名乗っているのかと言えば、「居合」という語は、本来は「立合(立った状態で、刀を抜いて敵と相対する)」という語の対義語であり、「座った状態で、刀を収めた状態で敵と相対する」という意味です。古流の居合流派は、まず最初に、座った状態から刀を抜き打つ技の稽古を行うなど、座り技での技法がその技術体系の根幹をなしているからです。しかしながら、戸山流には座った状態からの技は存在しないため、我々は、敢えて「居合抜刀術」という名称を名乗っています。 

本稽古会では、  

普遍的な身体の使い方に着目し、型(形)を通じて合理的な身体の動かし方を追求する稽古

 を行っています。一言で言えば、 

筋力に頼らずに、速さと強さを出すことができる身体操作」を追求する稽古を行っています。

 

 稽古内容については、

  ①基礎居合の「形」、

  ②本居合の「型」、

  ③奥居合の「型」(八方抜き、連続抜き、早抜き)、

  ④組太刀の「形」(木刀組太刀、真剣組太刀、短刀組太刀、短槍組太刀)

を稽古します。ちなみに、本稽古会では二人で行うものを「形」、一人で行うものを「型」と呼称しています。

 

 形稽古、型稽古を通して、身体操作だけではなく、「間」「先」「拍子」「位」など、武術としての必須項目についても身につけます。

 通常の稽古は型稽古、形稽古が中心となりますが、年に数度「刃引きの刀」を使って竹を斬る稽古も行います。これは型稽古で錬った身体の使い方の検証として行うものですが、同時に「演武」の練習も兼ねています。

 「斬り」の稽古は体育館では行えませんので、中津川市福岡にある代表の自宅稽古場で行います。「斬り稽

古」の日は、全員で竹藪に入って竹を採り、稽古した後、参加者全員で片づけを行います。